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第4話 私立探偵ボブ(完)

「さぁ、キャシー謎解きの時間だ、今から全ての点と点が繋がる、心の準備はオーケーかい?目を瞑るんだ」

キャシーは覚悟した、今からボブが何を語ろうと全てを受け入れることを誓った







どのくらい時間が経っただろうかボブは何も口にしない、その代わりに私の唇を奪った。ディープキッスだ。

舌を動かしすぎて段々と舌の動きが鈍くなるのが分かる。

あぁ、次の日筋肉痛だわ。そう思った。

このまま目を開けると宇宙で、そうして2人宇宙を彷徨いながら綺麗な惑星を見つけてそこで結婚式でも挙げようかしら、結婚指輪は土星の輪っかよ、照明は要らないわ、幾千もの星々が私たちを輝かせるの。友人たちは呼べないけれど、知らない星の私たちと同じ様な生命体達が祝福してくれるの。「幸せですかー?」って、「おめでとー」って多分何行ってるのかちんぷんかんぷんだけどそんなの関係ないの、勝手に都合よく解釈するんだもん、あ、そういえばキャシーってコードネームの前は何だったかしら、そうだわ、旧姓は吉田茂子だわ、でもボブと結婚したら私の名前はボブ茂子。


「ボブ茂子?」

ボブが口を開いた。接吻は続いている。

眩しい朝日が2人を照らす

「どうしてその名を?」

ボブは何も口にしなかった。そして同時に分かった。全ての謎が、瞬時に理解できた。2人は1つになったのだ。

「片渕は、死んだのね。」

ボブは気まずそうな顔をしたが、笑顔を見せた。

男は女の前では明るく振る舞うものなのだ。

「あぁ、お墓を建ててあげよう、彼の生まれ故郷、佐賀市内のどこかに」

そう言うと2人は立ち上がり病院を後にした。全ての黒幕の元へと向かった。


WAKAMATUを後にし車で黒幕の2人の元へと向かっていると犬が飛び出した

「おいおい、危ないじゃーないか、犬でも信号は無視しちゃダメだぜ」

「僕が青木!ハコベラ代表の青木!」

犬が喋った。驚きはしたがすぐにその犬が青木だと言うことに俺は気づいた。こう言う時レディーの前で取り乱さないのがダンディーというものだ。

「僕はハコベラの4年間で溜まったお金、11万円とちょっとを盗んだんだ!ごめんなさい!でもどうしても犬になりたかったんだ!ちゃんと働いて返すよ!」

青木犬の何の嘘もないつぶらな瞳に涙した。

「僕も黒幕の金子と前田のもとに連れて行ってくれ!」

こうして2匹と1匹は黒幕、金子と前田の元へと向かった。そう黒幕の正体は金子と前田だったのだ!


小倉に着くと空が蠢き暗黒の世界に変わった。

せっかく資さんうどんを食べようと思っていたのに。


今からこの地球ごとぶっ放したいと思いまーす

どこからともなく金子と前田の声が聞こえた

そして大きな光と共に世界が滅んだ

気づけば僕たちは宇宙にいた。

「くっ!クライマックスってわけか!」

キャシーの目を見ながらウィンクした。

たとえ訳がわからなくなってもこういうときに1つカッコつけるのが真の男だ。


「可愛いは。正義。」

金子と前田が合体した。

金子は。あいりょんと呼ばれている。

前田は、だーまえと呼ばれている。

2人が合わさって「だーりょん」の誕生ってところだ。


青木が叫んだ

「11万円とちょっとを盗んだのは悪かった!だけど何も世界を滅ばせることはないじゃないか!喰らえ!君達はもう仲間じゃない!ギャラクシーステップ!」

ギャラクシーステップとは惑星と惑星の間を瞬間的に移動する技だ。人の速度を超え車の速度を超えジェット機の速度を超え音速を超え光の速度を超え光を超えて青木は光となってどこかえ消えた。さよなら青木。


「そっちが合体するならこっちだって合体だ!」そう言ってボブとキャシーはキスをした。


2人の愛が宇宙に広まった

2人はガンダムよりも大きな巨人となり

だーりょんをぺしゃんこにした。


そして2人は星となり光り輝き新たな星を産んだ。


めでたしめでたし。





こうして私立探偵ボブは終わりだ。

洋服の青山のアルバイトの後、さらにホテルのアルバイトの夜勤明けの青木にしてはよくやった、今ちょうど420円のキャラメルマキアートを飲み干そうとしている。

締め切りは3日過ぎている。またメンバーに怒られることだろう。しかし僕は代表だ、代表は全て許される。それが代表だ。僕の人生はこれからも続く、結ばれない点もあるかもしれないが、いつか結ばれるべき点と点とが結びつき、1人の人生という名の物語が完成するのだろう。おやすみなさい。


(青木)