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生活(片渕)




部屋が汚い。片付けが本当にできない。
 
まずペットボトル、缶をすぐにゴミ袋へ捨てない。
布団周りに飲み終わり飲みかけのそれらが枕元を中心にして並べられる。さながらキャンドルナイト。たまに今日買ってきたペットボトルがどれか分からなくなる。ロシアンルーレット。
さすがに布団周りのキャンドルナイトはまずいと思い玄関近くに拠点を移す。しかし宅配便の兄ちゃんの視線の冷たさが気になり、玄関先から目に入らない場所へまたちょっと移動する。キャンドルナイト部屋の中で少しずつ北上中。それを乗り越えてキッチンへ。
 
僕のキッチンにはウォーターサーバーがある。
上京の際、「ウォーターサーバー無料」という不動産屋の口車に乗せられてしまった。
「レンタルという形ですので本体価格はかかりません。」と電話越しにやたら明るい口調で勧められ「はあ、分かりました。」と承諾すると、「では月に一度送らせて頂くお水代の件ですが・・・」とさらに明るく続けられ、自分はぜったい詐欺に引っかかりやすい性格だから気をつけようと思った。貧乏一人暮らしの部屋にウォーターサーバーがある景色は風刺画みたいだ。
 
母親は綺麗好き。その性格を中途半端に受け継いだからタチが悪い。
別に部屋が汚いほうが落ち着くとかじゃない。どちらかというと不快。
 
上京を機に相当物を減らし、スッキリさせてやってきたはずなのに何故こうも物が増えるのか。本当に謎。わたしが不思議。
 
そういえば、テレビで岩井志麻子さんと中瀬ゆかりさんがやっている「ことわざアップデート」という企画で昨年大賞を取った、「一寸の虫にも五分の魂」がアップデートされた「無職にも曜日感覚」は腹がよじれるほど笑った。
(このブログは、晩年の太宰治に近い心理状態で書きました。片渕)